2007年2月号は トラ(景虎)くんをご紹介です♪
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のどを撫でてもらい満足げな甘えん坊さんのトラくん。
「気持ちいいニャ~♪」

トラくんとAさんとの出会いは今から14年前。
Aさんが趣味の釣りに出かけた時のことでした。

湾内での釣り用に手漕ぎボートを貸し出している釣り宿があり、そこに、ちょうど生まれたばかりの子猫とそのお母さんが・・・。  お母さんは雑種なのに、どこか気品があって凛とした雰囲気を持っていた記憶がAさんには強く残っています。

ボートを借りて、砂浜から出船する際に子猫たちの脇を通ったAさん。  何気なく、一番チビの子に、「とら!」 と呼びかけて通り過ぎようとしましたが、子猫は、何が気に入ったのか、波打ち際を波に 転がされながらついて来ます。 今考えると、その頃からちょっと変った子で、水をまったく嫌がりませんでしたとAさん。(ある程度の年まで、呼べばお風呂に一緒に入ってくるほどでした)

釣りを終えて戻ると、ちょうど子猫たちはお昼寝タイムでしたが、また、「トラ」 と声をかけると、どこまでもついてきて、釣り宿の女将さんに、「あらあら、気に入られちゃったわね」と言われるほど。

そこで、元々猫好きであったAさん。 女将さんに貰えるかと尋ねると、「ここまでこの子が気に入っているなら逆に是非お願いしたい」 とのことでトラくんは、Aさん一家の一員となったのでした!

しかし、帰りの車中で、トラくんは早くも「超悪ガキ」の片鱗を見せました!

帰路の途中、トラくんを車内に残したままコンビニヘ立ち寄ったAさん・・・。
戻ってくると、車の周りに女子中学生の人だかりが・・・。 「なに?」 と思って近づくと、ワイパーが超高速で動いていて、トラくんが、ダッシュボードから、ルームミラーにぶら下げたアクセサリーに飛びついて遊んでいました!

どうやら、押し下げ式のワイパーのレバーの上に乗ってしまったようです。 そして、後部座席を見ると、一面ティッシュペーパーで、 まるで白いシートのよう・・・。 トラくんがジャンプするたびに、女子中学生たちが、「きゃ~☆」 「かわいい♪」 と大騒ぎ・・・。

「今でもそうですが、ヤツは、自分が可愛く見える表情や仕草、そして声などを分かっているようで、うまく使い分けて、『可愛い♪』 と言わせているようなところがあります。

若かりし頃は、道端で外国人の奥さんに、『Oh~!プリティボーイ♪』 と言わしめたものです。」 とおっしゃるAさんです♪

とらくんの、「悪ガキぶり」 は、その抜群の運動神経と跳躍力(子供の頃はAさんの肩に直接飛び乗っていたそうです)に支えられ、手がつけられないほど。 近所のゴールデンレトリバーの鼻を一撃で引き裂いて病院送りにしてしまったことも・・・。

しかし、一方では、人間が大好きで、とっても素直な性格を持つトラくん。 ちゃんと教えてあげれば非常によく聞き分け、人と協調しようとする意識が強い子です。

「猫には珍しく、呼べば返事をするし、駆け足で足元にやってくるほどなので、育てるにも、飼うにも、楽をさせてくれる子ではあり ます。」 とAさん。

躾に関しては、「食卓の上の食物を取らない」 という、ただ1点にだけ非常に厳しく育てられたトラくん。 まだ身体がAさんの 拳ぐらいの大きさの頃から、食卓に乗り、食べ物を盗った際には、拳で顔面を殴り(!!)、「これだけはマズイ。下手すると殺される!」  とトラくんが思うぐらいに教え込まれたそうです。

その結果、網戸での爪とぎだけが、どうしてもやりたい気持ちが勝ってしまう以外、ほんとうによく聞き分ける子に育ったトラくんです。

そんな厳しいAさんもトラくんが欲しがると、唯一与える人間の食べ物が、生クリームとカスタードクリーム。  指先にチョビッとつけて舐めさせてあげ、3回ぐらい・・・それで頭を撫で、「おしまい」 と言えば、トラくんもそれ以上は欲しが らないそうです。 もちろんトラくんの健康のためにもそれ以上は与えないようにもしています。

その他の人間の食べ物に関しては、トラくんが自分で、「食べて良いもの」か、「いけないもの」 か判断できるように教え込まれています。 匂いを嗅いで、「これは自分には食べられない」 と判断し、口をつけるどころか、舌で舐めることさえしません。

Aさん宅では、「人間が何を食べているのか」 を教えて、「おまえには食べられないものだよ」 「食べられるものの時は、隠さないであげてるよ」 と分からせるようにしてきたそうです。(もちろん、魚や肉は例外ですが)

結果、トラくんは、「食卓には自分の食べれるものはない・・・」 と思っているようです。

「何より感心するのは、焼き魚が食卓にあっても、匂いを嗅ぎ、手を出しそうでひっこめ、身を乗り出し、戻る・・・そんな葛藤を して、自分を抑制できる点です♪」 とAさん。

決して、目を盗んで、あっというまに手や口を出すということがないそうです。(海辺の釣り宿生まれなので、魚が大好きなのに・・・ です!)

もちろん、そのままにすれば、手を出すかもしれませんが、「とらぁ、ダメだよぉ」 と声をかけるだけで、自らテーブルを離れ、Aさんの足元へ来てしきりに何かを訴えてきます。 「我慢したよ!」 とでも言っているのでしょうか♪

そんな時は頭(顔?)をぐりぐり撫でて、我慢したことを褒めてあげるAさんですが、「猫だけに、分かっているかどうかは若干疑問 です・・・。」 とも。

Aさん曰く、「少なくとも、叱られるネタを人間の怠慢やミスで与えてしまった結果として、『叱る』 より、叱られないように誘導 してやって、褒めてやる方が、性格もおおらかになるでしょうし、 人間への信頼感も増すでしょうし、なにより、猫と人が仲良くいら れると思うので、ウチでは、猫が叱られる種を、できるだけ放置しないよう気をつけています」

そんなAさんにしっかり躾けられて育ったトラくん。 もう14歳という年齢になっても、元気でいられるのは、人間の食べ物をほとんど 口にせずに育ってきたせいかもしれませんね。(生クリームとカスタードは、精神衛生上の唯一の例外・・・だそうです〔笑〕)

日々の生活の中で、叱られる・・・ということが全くなく、毎日、人も猫も、平穏に暮らせているのが何よりだと思っています。

最後にトラくんの名前の由来を・・・。
小さい頃、とっても、「悪ガキ」 だったトラくんでしたが、Aさんが過去に猫を飼った経験上、小さい時に、「キカナイ」 子ほど、 厳しく上手に育てると、「いつか、立派な大人の猫になる日がくる」 と考えていたそうです。

そこで、「キカナイ」 子に 「幼名」 をつけて、大人になったら大人の名前・・・と考え、戦国武将、「上杉謙信」 の幼名である、 「景虎」 と名づけました。 この先、名前を「謙信」にかえるつもりはないそうですが、ゆくゆくは、「謙信」 として立派に凛々しくなってくれるように・・・そんな願いを込めたそうです。

で、実際は・・・
Aさんが思った以上に賢く育ってくれたトラくん☆ 「よく聞き分け、理解してくれて、甘ったれの部分と、独立心がほどよくバランスを保っていて、可愛さと、手のかからなさも、ちょうど良いバランスだと思います♪」 と絶賛(!?)のAさんです。

私たちがお世話に伺うと、必ず、リビングの入口までお迎えにきてくれるトラちゃん♪ ガラス戸越しにこちらを見つめて、「いらっしゃい!!」 と言っているようです。

お留守番中は、とっても寂しかったのか、「ニャーニャー」 と言って、甘えてきてくれるのですが、缶詰をあげると、夢中で食べ 始めます☆ 食後は、ベランダでブラッシング 。

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「ブラッシングをしてもらって・・・」

 

そして新鮮な空気を吸って、太陽にあたり、毛づくろいをした後は、

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「身だしなみを整えたら・・・」

 

落ち着いて、お昼寝タイム ・・・そんなお留守番をしているトラちゃんです!

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「後は寝るだけだニャ~ ZZZ・・・」

 

「悪ガキ」 だった若かりし頃に、「近所で子孫を増やしまくってはマズイ・・・」
と去勢をしてしまい、「トラくん2世」 を決して見ることができないのが今にしてみると残念とおっしゃるAさん。

奥様は、もう1匹猫を飼いたいとおっしゃっているそうですが、ご主人は、トラくん以上の猫には、おそらく2度と出会えないと思い、 あまり乗り気ではないそうです。

もちろん、甘えん坊のトラくんにとっても、新参者はあまり良い影響はないのでは・・・という理由もあってのこと。

「いつまでも元気で一緒に暮らしたい」 と願っているAさん。 そんな愛情一杯の家庭で幸せな毎日を過ごしているトラくんなのでした☆