2004年6月号は はなちゃんをご紹介です♪
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「楽しかったよ♪」と言ってくれているかな? はなちゃん。

いつの頃からかC社事務所周辺に現れるようになった一匹の猫ちゃん。
見た感じ、かなりみすぼらしく、いかにも、“野良ちゃん”と言った風貌でしたが、首輪もしており とても人懐こい子でしたので、「きっと何処かに飼い主さんがいるのだろう」と思っていたC社スタッフのSさん。

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「もっと撫でて~」

 

ある日、近所の小学生の女の子がその子を抱っこしていたのでSさんが、「この子、飼っているの? 名前 は?」とたずねると、「この子は、“はなちゃん!”でもうちの子じゃないの!」とのこと…。  首輪は事務所のとなりに住んでいる猫好きのおばさんが付けてあげたらしく、名前は女の子が独断(?)で命名したもの…。 やはり飼い主さんがいるわけではなかったようです。

そして、いつしかその猫ちゃんは近所でも、“はなちゃん” と呼ばれるようになり、完全にC社周辺に住み着いてしまうのでした。

とても人慣れしているので「もともとは飼い猫だったのでは?」とSさん。
後日、おとなりのおばさんが、はなちゃんを動物病院に連れて行くと、やはりすでに避妊手術済みでした…。 「こんなに人懐こくて穏やかな子をどうして捨てるのかな?…」と困惑気味です。

時々、事務所の前で昼寝をしていた はなちゃんでしたが、

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「ただ今お昼寝中!起さないでニャ~」

 

ある日Sさんが「入るかい?」と言って事務所のドアを開けてみると、「えっ? いいの~?」と言った感じでソロ~リと玄関に入ってきました。 その日以来、徐々に大胆(?)になってきた、はなちゃん。 しまいには開いているドアから勝手に入ってきていつの間にか自分の居場所を決めてグーグー寝ていくようになってしまいました…。

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「これでも少しは遠慮してるのよ!Zzz…」

 

それでも、ずっと事務所にいる事はなく、気が向くとお外に出かけて近所を見回りしたり、日向ぼっこをしたり、小学生の女の子達に抱っこしてもらったりと自由気ままです♪

ある雪の降る寒い冬の夜のことでした。
はなちゃんには猫好きのおばさんが用意してくれた、“手作りダンボールハウス”がちゃんとあるのですが、なぜかその日は外に置いてある椅子の上で頭に雪を積もらせながらコックリコックリ寝ていました。

出かけにその姿を目撃したSさんは、「何でこんなところで寝てるのかな?」と思いつつ、「帰ったら何か 掛けてあげよう!」と考えていたそうですが、戻ってみると、すでに、はなちゃんには何やら作業着のようなものが掛けてあり、はなちゃんもその中で丸くなってグッスリ寝ていました。

どうやら、近所に住んでいる普段は全く愛想のない強面のオジサンが、はなちゃんのために自分の作業着をかけてあげていたようです。

「あの人がねぇ~」とSさんも意外だったようですが、その人に限らず近所の人みんなに優しくしてもらっていた、はなちゃん。 これも、はなちゃんの人柄(猫柄)の良さのおかげなのか、はたまた、はなちゃんが、よい場所を選んで住み着いたのか?
どちらにせよ、安住の地を得て幸せそうに暮らしていた、はなちゃんでした。

そんな、はなちゃんでしたが、C社が事務所を移転することになり、SさんやC社スタッフの人とはそれっきりに…。 移転先に、はなちゃんを連れて行くことも検討したそうですが、ご近所みんなに可愛がってもらっているし、住み慣れた場所がいいのかなと思いそっとお別れしてきたそうです。

Sさんもそれからなかなか時間がとれず、はなちゃんに会いに行く事ができなかったそうですが、先日、ようやく会いに行く機会が…。 しかし、すでにそこに、はなちゃんの姿はありませんでした。

近所の方に伺うと、はなちゃんは、今年の初めに体調を崩し、猫好きのおばさんが作ってくれたダンボールハウスのなかで眠るように旅立っていったそうです。

「はなちゃんがこの地に来るまでの人生(猫生)は幸せなものだったのか誰にもわかりませんが、ここに来てからは、毎日気ままに暮らして満足していたのでは」とSさん。

最後に会う事ができず残念そうでしたが、 はなちゃんも今ごろはきっと天国で日向ぼっこを楽しんでいると思いますよ! はなちゃん、安らかに…。