
「時間が経てば、いつか楽になる」
私は、本気でそう思っていました。
でも、1年経っても、2年近く経っても、変わりませんでした。
18歳で旅立った愛猫『ぽこ』
ぽことの出会いは、少し不思議な始まりでした。
ペットシッターのお客様から、2代目のわんちゃんを迎えたので、またお世話をお願いしたいとご連絡をいただいた時のことです。
初めてのお世話で、その子と散歩に出かけました。まだ子犬で、お散歩にも慣れていなかった頃だったと思います。
途中で立ち寄った公園で、小さな子どもたちが、ニャーニャーと鳴く子猫を抱えて走り回っていましたが、そのうち子どもたちは遊びに夢中になり、子猫はその場に置き去りに…。
子猫は、お母さん猫とはぐれてしまったようで、鳴きながら不安そうに辺りを探し回っていました。でも、お母さん猫の姿は見当たりませんでした。
私はその場ですぐ夫に電話をして、事情を話し、迎えに来てもらいました。その子が、『ぽこ』でした。

【出会った頃の ぽこ】
片手に乗るくらいの大きさでした。小さかったなぁ。
子どものいない私たち夫婦にとって、結婚して初めて迎えたぽこは、子どものような存在でした。
旅立ったあとに思い出すのは、最後の辛そうな姿。
「あの時、もっとできたんじゃないか」という後悔。「本当にあれでよかったのかな」という答えの出ない問いばかりでした。
写真を見ても涙が出る。
思い出しても苦しい。
幸せだった18年間まで、悲しみに隠れて見えなくなっていました。

【ちずこ と ぽこ】
一緒に過ごした18年間には、楽しかったことも、笑ったことも、数えきれないほどあったはずなのに…。
それでも私は、誰かに相談しようとは思いませんでした。
「話したところで、ぽこが戻ってくるわけじゃない」そう思っていたからです。
もともと私は、人に頼るより自分でなんとかしようとするタイプでした。
仕事でも、家族のことでも、「ちゃんとしなきゃ」「私がやらなきゃ」「間違えないようにしなきゃ」
気づけば、いつも頭の中で正解を探していました。
犬猫さんと過ごしてきた30年
1996年、夫と共に『犬猫専門ペットシッター』の事業を始めました。
当時はまだ、ペットシッターという仕事自体がほとんど知られていない時代。多くのペットシッタースタッフを正社員として採用し、年中無休でご依頼をお受けしてきました。
さらにその後、トリミングサロン、ペットホテルも始め、30年間たくさんの犬猫さんと飼い主さまに関わってきました。
20年、30年と長くお付き合いくださるお客様も増え、そのお家で一緒に暮らす犬猫さんが代替わりしても、変わらずお世話を任せていただくこともありました。
元気いっぱいだった子が年齢を重ね、介護が必要になり、やがてお別れの時を迎える。そんな時間にも、何度も立ち会ってきました。
私自身も猫たちと暮らし、これまで8匹を見送っています。

【猫たちとの暮らし】
我が家の子たちはみんな、捨て猫、野良ちゃん、そして、野良ちゃんが我が家で産んだ子。
【猫たちとの暮らし】
写真の頃は、毎日賑やかで、とっても楽しかったです。


【猫たちとの暮らし】
お見送りした、ぽん(享年16歳)、ぽこ(享年18歳)、母さん(年齢不詳)、よつば(享年15歳)、ちゃば(享年9歳)、茶助(享年9歳)、半蔵(享年20歳)、うしこ(年齢不詳)、そして、今は、『ちろん&くろん』と暮らしています。
だから、犬猫さんとの別れが悲しいことは、もちろん知っているつもりでした。
それでも——
ぽことの別れは、まったく違いました。
これまで、わが家の猫たちとの別れを何度も経験してきても、
30年間この仕事をしていても、
大切な子との別れに『慣れる』ことなんてありませんでした。
ぽこの前では、私も一人の「飼い主」でした。
そして、どうしたらこの苦しさから抜け出せるのか、まったく分かりませんでした。
「このままの毎日は嫌だ」
1年経っても、2年近く経っても変わらない。「この苦しさは、一生続くのかな」そう思うこともありました。
でもある時、「このまま、こんな毎日がずっと続くのは嫌」そう強く思ったんです。
そこで知ったのが、心理学をもとにした『自分との向き合い方』でした。
最初は、「自分と向き合うって、何をすればいいの?」というところからのスタートでした。
でも、自分の気持ちをそのまま受け止めたり、自分を苦しくしている考え方のクセに気づいたり、自分一人では思いつかなかった見方を知ったり。
学んだことを日常の中で実践しながら、何度も自分自身と向き合い続けました。
そうして自分自身と向き合い続けるうちに、少しずつ変化を感じるようになりました。
ぽこの最後の姿だけではなく、一緒に遊んだこと。いつもの何気ない姿。

18年間一緒に過ごした、たくさんの幸せな時間。そんな思い出が、また戻ってきました。
ぽこを忘れたわけでも、悲しくなくなったわけでもありません。今でも会いたいです。
それでも、
『ぽこを思い出すこと=苦しい』 ではなくなりました。
写真を見ながら、「かわいかったな」「楽しかったな」と笑えるようになったんです。
そして、もっと驚いたのは、変わったのが、ぽことのことだけではなかったことでした。
「あの言い方でよかったかな」
「あの時こうしていれば」
「もしこうなったらどうしよう」
過去と未来を行ったり来たりしていた頭の中。人の反応を気にしたり、正解を探したり、自分より相手を優先したり。
それまで「私はこういう性格だから」と思っていたことにも、自分なりの理由があることが分かってきました。
そして、「周りはどう思う?」ではなく、
「私はどうしたい?」
と自分に聞けるようになった時、まず、自分との関わり方が変わりました。
自分を責めるのではなく、自分の気持ちを聞いて、自分の味方になれるようになった。
すると、人間関係や家族との関係、毎日の過ごし方も変わっていきました。
30年の仕事を終えた時、気づいたこと
ペットシッターは、30年間続けてきた大好きな仕事でした。
でも40代頃から体調の変化もあり、年齢を重ねる中で、この働き方をこの先も続けていけるのかを考えるようになりました。
そんな中、夫の腰の手術も一つのきっかけとなり、「これから先は、自分の時間も大切にしながら、無理なく続けられる仕事をしていきたい」と思うようになりました。
そして、2026年春。ペットシッター、トリミングサロン、ペットホテルの仕事をすべて終了しました。
閉店をお知らせすると、「寂しいです」「本当に残念です」と、たくさんのお客様に惜しんでいただき、温かいメッセージをいただきました。
「レポートは今でも大事に取ってあり、我が家の宝物です」
「本当に私も猫も救われました」
「雨の日も風の日も来てくれる存在の心強さは、何ものにも代えがたいものでした」
「大事な家族の命を安心して預けられる存在が、いかに頼もしく尊いものかを実感しました」
一つひとつの言葉を読みながら、それまでお客様からいただいてきた言葉も思い出し、私は気づきました。
「30年間やってきたのは、犬猫さんのお世話だけではなかった」
大切な我が子を安心して任せていただけるよう、一つひとつのお世話に向き合ってきたこと。お留守番の間も、飼い主さまに安心していただけるようにしてきたこと。そして時には、介護や看取りの時間にも寄り添ってきたこと。
「その積み重ねを通して、飼い主さまの心にも、ずっと寄り添ってきたんだ」
そして思いました。
仕事の形は変わっても、これまで出会ってきたお客様とのご縁を、これからも大切につないでいきたい。
そこから『ちずこの部屋』が始まりました。
ただ、始めた時から今の形が見えていたわけではありません。
「私だからできることって何だろう?」何度も考え、試しながら、形を探してきました。そして、ようやく気づきました。
30年間、犬猫さんと飼い主さまに寄り添ってきたこと。8匹の愛猫を見送ったこと。ぽことの別れで、深いペットロスを経験したこと。そして、心理学をもとにした自分との向き合い方を知り、私自身が苦しみから抜け出してきたこと。
別々だと思っていた経験が、すべて一本の線でつながったんです。
だから今は、その経験を『ちずこの部屋』でお届けしています。
悲しみを消すためでも、大切なあの子を忘れるためでもありません。
後悔や寂しさを一人で抱え続けるのではなく、
「あの時、本当はどう感じていたんだろう」
「どうして私は、こんなに自分を責めているんだろう」
そんな心の中を一緒に整理しながら、私が実際に苦しみから抜け出した方法をお伝えしています。
目指しているのは、
大切なあの子との思い出が、悲しみだけで終わらないこと。
最後のつらかった時間の奥に隠れてしまった、一緒に笑った日。何気なく隣にいてくれた日。

「あの子と暮らせて幸せだった」
そんな大切な時間を、もう一度取り戻していくことです。
そしていつか、あの子のことだけではなく、自分自身のこれからにも、
「明日は何をしようかな」
と思えるようになってほしい。
私も、そこまで来るのに時間がかかりました。だからこそ、過去の私と同じように、今、一人で出口を探しているあなたに伝えたいと思っています。
私に特別な才能があったわけでも、心が強かったわけでもありません。私も最初は、「自分と向き合うって、何をすればいいの?」というところからのスタートでした。
それでも、自分と向き合う方法を知り、一つひとつ続けてきたことで、あれほど変わらないと思っていた毎日が変わりました。
「このままは嫌。私も変わりたい」
そう思っているなら、その気持ちは、もう変わり始めるサインなのかもしれません。
迷っていても、うまく話せなくても、まとまっていなくても大丈夫です。
今の気持ちを、そのまま聞かせてください。
もし今、あなたが「このままは嫌。私も変わりたい」と思っているなら。
変わるきっかけを、『ちずこの部屋』に受け取りにきてください。


